永住権の条件(日本人の配偶者ビザをお持ちの方)
永住権の条件
(日本人の配偶者ビザをお持ちの方)
日本人の配偶者ビザをお持ちの方が永住権を取得するために必要な条件として、以下の4つの条件があります。
①居住条件、②年収条件、③税金・年金・健康保険、④その他の条件
この記事では現在、日本人と結婚している方で日本人の配偶者ビザをお持ちの方が永住権を取得ために必要な条件について詳しく解説します。
目次
日本人の配偶者ビザとは
日本人の配偶者ビザとは、正式には在留資格「日本人の配偶者等」のことを指します。
次の方が在留資格「日本人の配偶者等」に該当します。
<日本人の配偶者>
「配偶者」とは現に婚姻関係中の者をいい、相手方の日本人が死亡した者又は離婚した者は含まれません。また婚姻は「法律上有効な婚姻関係」であることを要し、内縁関係にある者は含まれません。法律上の婚姻関係が成立していても、同居し、互いに協力し、扶助しあって社会通念上の夫婦として共同生活を営むという婚姻の実体を伴っていない場合には認められません。また、合理的な理由がない限り、同居して生活していることを要します。
<日本人の子として出生した者>
日本人の実子をいい、嫡出子のほか、認知された非嫡出子が含まれます。日本で出生したことは要件ではありません。年齢制限はありません。
<日本人の特別養子>
普通養子は含まれません。
永住者ビザや日本人の配偶者ビザはいずれも就労制限はありません。しかし、日本人の配偶者ビザの方は日本人との死別や離婚により在留資格該当性を失いますが、永住者ビザを取得した場合は死別や離婚により在留資格は失われません。
永住権に必要な居住条件
<配偶者の場合>
実態を伴った婚姻が3年以上経過し、かつ引き続き1年以上日本に在留していること。
<子の場合>
引き続き1年以上日本に在留していること。
- 日本人の配偶者ビザをお持ちの方は、他のビザよりも居住要件は大幅に緩和され10年以上日本に住んでいなくても申請することができます。
- 「実態を伴った婚姻」とは同居し、互いに協力し、扶助しあって社会通念上の夫婦として共同生活を営むことが必要です。また、合理的な理由がない限り、同居して生活していることを要します。
- 「引き続き1年以上日本に在留している」とは、在留資格が途切れることなく日本に在留を続けていることをいいます。出産などで母国に帰国して、一度の渡航で3か月以上出国した場合や、1年間に合計180日以上日本にいない場合は条件を満たしません。
永住権に必要な年収条件
年収が300万円以上あり、さらに扶養家族1名あたりプラス60~80万円必要(確認対象期間3年)
- 年収については具体的な金額は公表されていませんが、「日常生活において公共の負担となっておらず、将来において安定した生活が見込まれることが必要」とされていることから、生活保護を受けておらず、目安として上記年収程度が必要といわれています。確認対象期間中に年収が足りない年がある場合や、将来において安定した生活が見込めないと判断された場合は許可されません。
- 転職して収入が減った場合は、安定した生活とはまだいえないと判断される恐れがあるため、最低でも1年以上経過した後、永住申請することをお勧めします。
- 日本人の配偶者ビザの場合、年収は世帯全体の年収で審査されます。つまり申請人と配偶者である日本人の年収を合算することができます。また収入だけでなく、預貯金や不動産などの資産なども考慮して総合的に判断されます。更に年収の確認対象期間が3年に短縮されます。
税金・年金・健康保険について
住民税の未納、延納がないこと(確認対象期間3年)
住民税の未納や延納がないことの証明が必要です。会社の給与から天引きされていない期間がある場合は、納付期限を守って支払いをしたことを証明するために、領収書を保管しておくことや、銀行口座からの自動引き落としの場合は、銀行通帳の記帳を忘れずに行うことが必要です。
年金の未納、延納がないこと(確認対象期間2年)
公的年金(国民年金や厚生年金)の加入と未納や延納がないことの証明が必要です。国民年金の場合は領収書も保管しておくことが必要です。
健康保険料の未納、延納がないこと(確認対象期間2年)
健康保険(国民健康保険や会社の健康保険)の加入と未納や延納がないことの証明が必要です。国民健康保険の場合は納付証明書と領収書の保管が必要です。
国税の未納がないこと
源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税および復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税の未納がないことの証明が必要です。税務署で発行される納税証明書(その3)の提出が必要となります。
<ご注意>
上記確認対象期間に税や保険料の未納や延納があった場合は追納しても認められず、不適合となります。確認対象期間を過ぎた後、申請することとなります。
その他の条件
最長の在留期間を持っていること
現在お持ちの在留資格の在留期間が、最長の在留期間であることが必要です。日本人の配偶者ビザの場合、在留期間は主6月、1年、3年、5年のいずれかになります。この場合5年の在留期間が最長となりますが、当面の間、在留期間「3年」を有する場合も、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。
刑罰を受けたり、交通違反を繰り返していないこと
- 日本国の法令に違反して、懲役・禁固又は罰金に処されたことがないことが必要です。処罰されたことがある方は、処罰後に一定期間が無事に経過すれば許可になる可能性があります。一定期間とは、懲役と禁固の場合は刑務所から出所してから10年以上を経過(執行猶予の場合は、猶予期間が満了してから5年以上経過)することです。罰金・拘留・科料の場合は支払い終えてから5年以上経過することで、日本国の法令に違反して処罰されたものとしては取り扱われません。
- 駐車違反や一時停止違反など軽微な交通違反でも繰り返し行っている場合は永住許可されません。一般的には過去5年間に3,4回程度以上行っている場合は不許可になる可能性が高いです。飲酒運転や無免許運転の場合は軽微な違反ではなく前項に該当します。
身元保証人がいること
- 身元保証人になれる人は、日本人か、外国人の場合は「永住者」の方で、安定した収入があり、納税をきちんとしている方でなければいけません。身元保証人の年収の目安として、概ね300万円以上あるとよいです。
- 身元保証人の保証の内容は滞在費・帰国費用・法令遵守であり、連帯保証人とは違い、基本的に経済的な賠償は含まれておりません。入管法上の身元保証人とは道義的責任であり、法律的には責任は負いません。
終わりに
- 永住許可申請は審査期間が6か月~1年かかるケースもあり、申請中に現在の在留期限を迎えてしまうことがあります。この場合は現在の在留資格の在留期間更新許可申請が必要となりますのでご注意ください。
- 永住許可申請は許可率が50~60%と低く近年審査が厳しくなっています。永住条件を満たすことを示すための適切な資料とポイントを押さえた理由書の作成が重要となります。
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<執筆者>
外国人永住ビザ申請サポート
申請取次行政書士 北村重男
お問合せ:https://eijyuu.com/contact/
永住権を得るために必要な条件
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